国連艦隊は龍によって壊滅状態になっていた。煙と炎が上がる中、龍は海を泳ぎ、浜辺へと近づいた。その頭には、一人の老人がしがみついている。トメの夫・リキオだ。
リキオは正気を失っていた。
「タイリョウ!タイリョウ!」
焦点の合わない目で虚空を見ながら、うわごとのようにつぶやくリキオに、遥か下から声がかけられた。
「爺さん、今いくからね!」
トメは、右腕をジョナスに、左腕を静子に預け、両腕を大きく広げた格好でいた。
「いくぞ女、スリー、トゥー、ワン、GO!」
ジョナスと静子はトメを龍の頭に向かって投げつけた。
トメは空中でくるりと体勢をたてなおしながら、龍の頭の上、リキオの背後に飛びついた。
そしてトメはチョークスリーパー気味にリキオの首に腕をまわして、彼の胸元からペンダントを取り出すと、自分もかけていたペンダントを取り出し、リキオの目の前にそれを示した。