まだ父さんと母さんは仕事だな。


俺は風呂場のゴミはそのままにして、自分の部屋に戻った。


なんだかなー、一日中自転車を漕いだせいか。 疲れた。


普段のバイト以上だな……



まだ夕飯まで時間があるし…… ちょい、休まして。


床に荷物を放り投げ、ベットに倒れ込んだ。


――― クシャッ。


クシャッ?


今…… 紙が潰れるような音がしたよな。


枕に埋まっている顔を上げ、辺りを確認。


「――― ??」


なんだ、これ。
枕の下に紙切れを見つけた。



『いっくんへ

ベット貸してくれてありがとう。
よく、眠れたよ。
いっくんって、寝顔が赤ちゃんそっくりで、かわいかった!

夏風邪引かないように気を付けてね! まお』


こんなこと、口で言えばいいのに。


こういうのって、まおらしいと言えばまおらしいな。


自然と顔が緩むのが自分でも、分かる。


夏風邪、か……


「まおに言われたくないっつーのッ」






fin.