数歩後ろを歩く位なら、隣に来いよ。 百歩譲って手は握らなくていい。

あっ、自転車を押しているから無理だけど…… 隣を歩けッ!


後ろを歩かれるとまおの様子が分からないっつーのもあるけど、何かあった時に困るんだよ。 ……… 俺が。



まおに傷を作らせたくないんだ。
女の子っつーのもあるが…… なんだかな。

まおが傷を作ってそこを見つめるその目が悲しそうな目をするんだ。


目に見える傷であっても、見えない傷であっても。
まおにはどんな小さな傷でも作って欲しくないんだ。


「まお」


「なに?」


「……… 暑いな」


「そうだね」


まおは気付いているか? 俺がこうやってまおのペースに合わせて歩いている事に。 …… まおだからな、気付いていないだろうな。


「いっくん、今日は一緒に沢山遊んでね」


「はいよ」


二人しかいないのにどうやって遊ぶんだか。
まあ、まおと一緒だから…… いっか。