「未央、まーた見てんの?」
 
 
ここは学校の最上階、4階にある音楽室。放課後は吹奏楽部が占領して使っている。窓からはグランドいっぱいに汗をかいて頑張っている運動部の人達を一望することができる。
 
この学校は田舎の方にあって、わりと高い位置にあるから景色は最高。海まで見れる。暗くなれば、夜景がとても綺麗だ。
 
 
 
「うん…まあね」
 
「人がこんなに小さいのによく分かるなあ」
 
 
明美は目を細めて、飽きれた顔をして言った。
 
 
「そんなことないって。よーく見れば案外すぐ分かるよ…てメガネかけてないからじゃんっ」
 
 
明美は目が悪くていつもはコンタクトだけど、落とした…とか言っておとといからメガネなのだ。
 
 
 
「あっ!そうじゃんねえ…何か忘れとると思ったらメガネかあっ!!」
 
 
と言って、カーディガンのポケットからメガネを取り出した。
 
 
「どあははは…っ!!!また天然ボケかましとるし」
 
 
そう、明美はしっかり者なのにどこか抜けてておもしろいと言うか、可愛い。
 
 
「も〜…なんでこれが天然ボケになるのさ!確かに今のはバカだったけど…」
 
 
明美はムスッとした顔をして私を見た。