ドレスに着替えた浅姫は本当に綺麗だった。

「真比呂さん、これ、似合ってないですよね~」

浅姫は鏡の前で何度も右を見たり、左を見たり・・。

「何言ってんの。綺麗だよ。」

今日の浅姫のドレスは長谷くんが選んだ物だ。

アイボリーのAラインドレスはレースやオーガンジーをたっぷり使って、シャイニータフタで仕立てたイタリアンテイストのドレス。

立体感あるアシンメトリーなスカートが洗練されてて、まさに浅姫にピッタリの物だ。

「さすが、長谷君ね。」

思わず褒めてしまう・・・。

さてっ。

「さあ、浅姫。準備は良い?」






会場のロビーには仕事から抜け出してきた、コックさんや、客室係の人。そして一般のお客様。

本当に溢れんばかりの人が、たくさんいた。

『新郎新婦、入場』

今まで、何度同じ場面と対面しただろう・・・。

いつも、ホッとするこの一瞬。

だけど、今日は違う。

長谷くんの腕に、腕を絡めて登場する浅姫は本当に幸せな花嫁。

浅姫が幸せを掴んでくれたことが、本当に嬉しい。

涙が溢れそうになりながら、二人を見ていると目の前にハンカチが差し出された。

「えっ?」

顔を見ると、そこには愛しい旦那様と、愛すべき子供達・・・。

「どうしたの?」

正直ビックリした。

「浅姫ちゃんが、来てくれたら嬉しいって・・・」

そう言って、招待状を出す子供達・・・。

招待状は本当に関係者にしか送られてないはずなのに・・・。

私の涙腺は簡単にゆるんでしまった。