(おまけは全編真比呂目線です。)

トントン

ノックしてドアを開ける。

「あれ?いない・・・」

ここは花嫁控え室。

今日の主役の花嫁がいない。

「まったく・・・」

小さくため息をついて、会場へむかう。

『そこは、一応入れないように・・・・・・・』

会場に行くと、一番に聞こえてくる。

いつものように、後輩に指示を出す声。

今日の主役の花嫁である。

自分の結婚式なのに、いつもとなんにも変わらず、準備する姿には、関心するけど・・・。

「ちょっと。浅姫。今日は、花嫁に徹してよ。」

そう、今日は浅姫と、長谷課長の結婚式なのだ。

「だって、おちつかなくて・・・。」 

それは、そうだ。

自分の結婚式だもの。

落ち着かないのは当然。

それも、ただの結婚式ではないのだから、余計に・・。

でもね・・・。

「でも、控え室にいて。」

そう言って、強制で控え室へ連れ戻す・・・。



「浅姫。おめでとう」

今まで、なかなか機会がなくて言えなかった言葉を口にする。

「・・・・」

あれ?

浅姫の顔を覗く。

「もう~、まだは早いわよっ」

浅姫の目うっすら涙がたまってた。

そんな浅姫を、ぎゅって抱きしめた。

浅姫と知り合って、11年。

こんな幸せな顔は初めて見たかも。