陽輔side

次の日、俺は外回りから、直帰すると言ってその足でアニキの家に向かった。

アニキに昨日のことを話すが、アニキは全く悪気がない。

ったく、婚約したんだから、少しはおとなしくしろよ・・。

けどアニキは、そんなことも気にせず、久しぶりだし飲もうぜと日本酒を出してくる。

いきなり、日本酒かよって、つっこみも完全スルーされる・・。

アニキは昔から酒も好きだ。

俺も、アニキに会うの久しぶりだったこともあり、二人で消費した酒の量ははんぱなく・・・

俺は、帰れなくなりアニキの家に泊まらせてもらった。

次の日も、酒が残ってギリギリまで寝てたせいで、一度マンションに帰ろうと思っていたが、帰れずアニキの服を借りて仕事に行った。






ホテルに出勤した俺を待っていたのは、浅姫の部下の坂野だった。

「長谷課長、彼女お綺麗な方ですね。」

彼女? 浅姫のことか・・・?

「見ちゃいました。お二人でいる所・・・」

「えっ?」

「お仕事何されてる方なんですか?」

坂野の言うことが理解できない。

黙って聞いていると、どうやらアニキの婚約者を彼女と勘違いしているようだ。

「そのことはみんなに内緒で頼むな」

「・・・・」

「もう、誰かに言った?」

「はい。休憩室で・・・・。スイマセン・・・」

まさか、浅姫にも・・・?

浅姫のことだ、きっと勘違いしてる。

一人で泣いてないか?

それだけが心配だった。