午後からの仕事は、何をしたか覚えていない・・・。

「浅姫さん、帰らないんですか?」

「えっ?」

気が付いたら就業時間はとっくに過ぎていた。

みんなも、もう帰り始めたいた。

きちんと本人に確認しなきゃ駄目だよ・・と言って、真比呂さんが帰っていったのは、どのくらい前だっただろう・・・?

はあーと、大きなため息をついて、私も帰ることにした。

噂は噂。

付き合ってる本人が、ここにいるのに、彼女なんて他にいるはずない!と思ってはいても、坂野さんが言った言葉が頭から離れない。

背の小さい、黒髪の女の人・・・。

ずっと、そのことばかりが頭の中を駆けめぐっていた・・。




家に帰っても、部屋は真っ暗なままだった。

今日は何も連絡がなかったから、そんなに遅くならないはず。

とりあえず、ご飯作るか・・。

私は、キッチンに立ち、調理を始めた。



いくら待っても、課長は帰ってこない。

一人でご飯を食べ始める・・・。

一緒に暮らし始めても、数えるほどしか、一緒にご飯食べてないな・・・。

なんで、課長は私と一緒にいるのかな?

なんで・・・・?