「ふ~ん。時間合わせて一緒に来たんだあ・・・」

ニヤニヤしながら、真比呂さんが私の顔を覗き込んでくる。

「ち、、違いますよ。たまたまです・・・」

真比呂さんは、直哉は将来有望だと、勝手に人の彼氏候補にしてる。

だから、直哉と一緒にいると、よく‘付き合え’とけしかけられる。

「待ってたんじゃないの?浅姫のこと・・・?」

「そんな訳ないじゃないですか~!!」

「・・・・。何で気づかないかな・・・。」

私は、注文を取りに来た人と話してて、真比呂さんがつぶやいてたことなんて聞こえてなかった。

「はい、かんぱ~い」

ビールが運ばれてきて、乾杯してグビグビ飲み始める。

実は、ビール大好き。

いや、ビールには限ってないんだけど・・・。

ビールを飲みながら、部屋の中を見回す。

今日は、営業課長の歓迎会の為、参加は営業部のみ。

営業はけっこう飲み会の参加率は高い方だと思う。

今日の主役の課長の回りには、課長狙いの坂野さんに営業の女の子。そして部長・・。

真比呂さんの回りには、翔君と、営業の三輪さんに高橋さん。

三輪さんは真比呂さんと仲が良くって、飲み会の時は結構一緒にいることが多い。

「浅姫ちゃん、彼氏出来た?」

結構、出来上がってる高橋さんが聞いてくる。

飲み会になると必ず聞いてくるんだ、高橋さんは・・・。

「出来てません。ってか、いりませんから・・・」

ビールを飲みながら、高橋さんのこと睨む。

「みんな、心配してるんだよ・・・」

真比呂さんがフォローする。

「ご心配には、及びません・・・。」

それだけ言って、またビールをグビグビ。

この時は、気づいてなかった。

自分の体調がいつもと違う事なんて__。