最後の恋

「そんな簡単じゃない。」

もう、今さら何をしたって何も変わらない。

過去は、過去なんだ。

「・・・・」

「斗馬はそれで良いかもしれないけど・・。美空さんのこと考えた?」

「えっ?」

「美空さん、今、式のことでいっぱいいっぱい。でも、もっと大事なこと出来たと思うよ。」

「・・・・?」

何いってんだ?って顔の、斗馬を置いてまた歩き出す。

「っっ浅姫!?」

廊下の向こうから、課長が走ってくるのが見えた。

「か、課長・・・?どうしたんですか?」

ハアハアと課長は息を切らしている。額にも汗が・・。

「倒れたんじゃないのか?」

「えっ?」

倒れたって誰が・・・?

美空さん・・のこと・・・・?

「浅姫が倒れたって聞いて・・・」

「へっ?」

課長の思いも寄らない発言に変な声が出た。

「違うのか?」

課長の必死な顔に何も言えず、コクンとうなずく・・・。

「そ、、そっか。良かった・・・。」

そういって課長は思いっきり私を抱きしめる・・。

「あ、、あの、、課長、、、。お客様が・・・。」

抱きしめられた胸の中で、必死に答える。

目の前には、ポカーンとした顔の斗馬・・・。

「あ、、ごめん。忘れてた・・」

慌てて私を離して、課長は斗馬の方を向く。

一緒にいたのが斗馬だとわかり、途端に不機嫌になる課長の顔。