最後の恋

「浅姫・・・。元気だったか?」

誰もいない廊下・・・。

斗馬が静かな声で聞いてきた。

「・・・・」

「・・・・」

斗馬の事、無視は出来ない・・・。

「・・・・うん・・・」

「職場も変えて、住むとこも変えて、探したのに見つけられなかったのに、こんな近くにいたなんてな。・・まさかこんな形で合うとは思わなかったよ。」

本当だね。これは私も予想外だったよ・・・。

「・・・・・」

「すまなかった・・・。」

後ろを歩いてた斗馬が立ち止まる。

つられて私も止まる。

「・・・・・」

「俺、何にも知らなくて。浅姫のこと傷つけたよな。あれからどうしてた?今はどうしてるんだ?・・俺の担当になって式、ぶち壊せば気が済むか?それなら・・」

そんな風に思ってたんだ・・・。

「ぶち壊すって、言ったらどうするの?」

背を向けてた斗馬の方を振り返る。

「えっ?」

私から、こんな返事が返ってくるとは思ってなかったのか、斗馬が顔をジッと見る。

「・・・・」

「ぶち壊してやるって、言ったらどうするの?」

もう一度、斗馬に聞く。

「浅姫の気持ちがそれで済むなら、それでもいい。」

斗馬がそう答えて俯く。

「ふっ。」

斗馬の答えに、思わず鼻で笑ってしまった。

「気持ちなんてそんなんじゃ済まないよ。」

そんなんで、済むはずがない。