最後の恋

今日から担当が変わるので、最初は課長の真比呂さんも同席してくれた。

「担当者が変更になりまして、申し訳ございませんが、今日からこちらの真野が落合様、町田様の担当をさせて頂きます。」

真比呂さんに続いて挨拶をする。

「今日から担当させて頂く、真野と申します」

打ち合わせルームで待っていた6人に向かって、頭を下げる。

顔を上げた私の顔を見て、斗馬のお母さんの顔が一瞬ひきつったのがわかった。

「では、よろしくお願いします。」

真比呂さんは、それだけ言うと、打ち合わせルームを後にした。

「それでは早速、打ち合わせに入りたいのですが・・・」

余計なことは考えないで、仕事に専念する。

向かい合って座っているせいか、斗馬と、斗馬のお母さんが必要以上に見てるのがわかった。

結婚式の打ち合わせって、実は結構揉める。

日程から始まって、式の形とか、招待客の人数とか、引き出物とか・・・。

今回も、結構揉めてる・・・。

場が少し険悪な雰囲気になったので、休憩することにした。

「15分くらい休憩してから、また決めましょう」

そう言って、打ち合わせルームを出た。

ドアを閉め、ふーっと息をつく。



休憩時間なんて、あってないような物で、すぐ打ち合わせルームに戻ることになった。

打ち合わせルームの近くで、斗馬の彼女の美空さんがうずくまってた。

「どうかなさいましたか?」

彼女に近づく。

彼女の顔は、青くなっていた。

「大丈夫ですか?誰か呼びますね?」

打ち合わせルームに向かおうとする私の腕を彼女が掴んだ。

「呼ばないで・・・」

「でも・・・」

「大丈夫・・。心配かけたくない。」

「じゃあ・・・・」