最後の恋

坂野さんの件は、違う課の長谷課長のとこまで耳に入ってた。

「出来る?」

夕食後、課長の部屋でくつろいでたときに、課長が聞く。

「・・・・」

本当なら、やりたくない。

元彼の担当なんて。

断れるなら今からだって断りたい。

披露宴だし、本人だけじゃなくて、ご両親も打ち合わせに来るのだ。

斗馬よりも、あの、お母さんに会わなくてはいけないのだ。

「・・やらなきゃ、ならないでしょ?」

手に持ってた、ビールを口にする。

「浅姫は、強いな・・・」

ぽつり・・課長が言う。

「強くいないと、自分がだめになっちゃうから」

そう、強く生きないと、私には守ってくれる人がいないんだから。

自分の力で生きていかなきゃいけないんだ。

「俺は、弱い浅姫でも良いけど・・」

課長は私のあごを掴み、上を向かせる。

自分の唇と私の唇を重ねる。

「辛くなったら、言えよ。」

「うん」

「元彼のこと、好きになるなよ」

「ならないよ」

「俺は、会わせたくないけど。」

「・・・・」

「嫌なんだ・・・」

「仕事だよ・・・」

「ふっ。そうだな」

課長はそう言うと、ぎゅっと抱きしめる。

私も、ぎゅっと抱きしめる。

「ねえ、陽輔・・・。・・して・・」

私達は甘い夜を過ごした。