課長が連れていってくれたお店は小さなイタリアンのお店だった。

食事を終えて、私のマンションについた。

「一緒に降りる?」

首を横に振る。

「じゃあ、10分で用意してきて」

コクンとうなずいて車を降りて、マンションに入っていく。

部屋に入って、お泊まりセットの用意をする。

仕事が終わって、慌ただしくて斗馬のことも思い出してなかったけど、一人になると、ふと思い出してしまう。

ピ~ンポ~ン

こんな時間に誰だろ?

私はモニターも確認しないでドアを開けてしまった。

「・・・・・」

ドアの向こうに立ってたのは、課長だった。

「全く・・・。確認しないで、危ないだろ?俺じゃなかったらどうするんだよ?」

そう言いながら玄関にはいる。

「ご、、ごめんなさい」

「次からは、気をつけろよ?」

チュ

不意打ちのキス。

唇に触れるだけのキスなのに、課長にキスされると何も言えなくなってしまう。

「準備できた?」

「うん」

課長がかばんを持ってくれる。

「行くよ」

反対の手で私の手を握る。

その手は車に乗っても、ずっと繋がれたままだった。