出発しても何も話さない課長・・・。

その沈黙が嫌で、私はとりあえず質問からしてみることにした。

「これ、課長の車ですか?」

「陽輔」

「・・・・」

そうだった・・・。

ホテル以外では名前で敬語も禁止なんだった。

「よ・・陽輔の車?」

「うん」

「どこいくの?」

「まずは、飯。それから浅姫のマンション」

「ウチ?」

「うん。お泊まりセットと、着替え持ってくるだけだけど。」

お泊まりセットと着替えって。

私の意志は関係なく、今日お泊まりは確定なのね・・・。

「今日は何で、車?」

「浅姫を拉致しようと思ってたから」

課長はそう言ってフッと口角を上げる。

拉致って・・・。

「・・・・・」

「嘘だよ。ちょっと車使う用あって・・・。」

「そ、、そうですか・・・」

何も返せない・・・。

また、車の中は静かになった。