私はスイマセンとだけ言って、鞄を掴んで玄関にむかった。

靴も履くか、掃かないかの状態で、飛び出す。

それからは、おもいっきり走った。

飛び出る涙は止まらない。

ジロジロ見る、歩く人なんか気にしてられなかった。

ただ、この場からいなくなりたかった。

ひたすら走って、近くにいたタクシーを捕まえて、私は自分の部屋にたどり着いた。


バタンッ

部屋のドアを閉めると、我慢してた嗚咽が出た。

「う・・・・っ。ヒック・・・」

もう、涙は止められなかった。

斗馬のお母さんの言葉がずっと、心にささったままだった。

一晩中、私はそこから動けなかった。