最後の恋

それからは、お正月ということもあって、親戚の人が来たり、初詣に出かけたり、
普通のお正月休みだった。

そして、2日実家に泊めてもらって、私たちは帰ることになった。

「斗馬、浅姫さんの実家にはいつ行くの?」

帰る支度も終わって、玄関を出ようとした時、思い出したようにお母さんが言った。

「ん~?2月くらいかな?」

斗馬は曖昧に答える。

「行くときは、連絡ちょうだい。お母さん達も行くから。」

「あ~、うん・・・・。じゃあ、また来るから。」

「お邪魔しました。突然だったのに、ありがとうございました。」

私も、斗馬に続いて玄関を出る。

お父さんは少し前に出かけてて、お母さんは外まで見送ってくれた。

「・・・・。」

駅までの道。斗馬は何も言わない。

斗馬はきっと、考えてるんだ、さっきのこと。

お母さんが言った“実家”

私には両親がいないから、実家はない。

高校生までは叔父さんの家にお世話になってたけど、今は職場の近くに一人暮らししてる。

だから、実家は____。

「浅姫は心配しなくて良い。」

まるで、私の心を読んだかのように、斗馬が答える。

「うん・・・。」

斗馬が手を伸ばしてきて、手を繋ぐ。

今まで不安だった心が、こんなちっぽけなことで、あったかくなるんだ。