最後の恋

息子の里帰りに、彼女まで一緒だって事に、ご両親がとまどいながらも、
私の観察も忘れてはいないみたい。

そんなに、見られても・・・。

困って、チラッと斗馬を見る。

斗馬も一度私を見ると、うなずいて、口を開いた。

「突然だけど、俺たち結婚しようと思ってる。」

「「えっ??」」

ご両親の声が見事にかぶった。

お母さんは目をパチパチさせて、斗馬を見る。

「け、結婚?」

そりゃー、ビックリするよね。

今年やっと、社会人になって親の手離れたと思ったら、結婚だなんて・・。

「あなたいくつ?」

「22です。」

「22って、まだ早いんじゃないの?斗馬だって、まだ23だし、給料だって・・・」

お母さんの言いたいこともわかる。

新卒だし、給料も安いだろうし、なによりまだ若いって言いたいんだよね・・・。

でも・・・

「確かにまだ若いし、給料も安いかもしれないけど、もうこいつだけだって思ってる。」

斗馬はお母さんに対して、ハッキリ言ってくれた。

う、やばい。

泣きそう。

「だから、認めて欲しい」

斗馬はまた私の手をギュッて握ってくれた。

私もギュッて握り返す。

「幸せにする自信、あるんだろうな?」

今まで黙ってた、お父さんが言う。

「ある。」

斗馬は迷いなく、答える。

「浅姫さんは・・・・。この男で後悔しないかね?」

「はい・・・。」

私も迷いなく答える。

「そうか・・・。なら良い。」

お父さんはそれしか言わなかった。

お母さんはまだ、何か言いたげだったけど・・・。