あれから大急ぎで準備して、何とか始業時間には間にあった。

今日は打ち合わせもないし、今度のフェアのプランでも練ろうかな。

私は、真比呂さんに声を掛けて、チャペルにむかう。



ウチのホテルのチャペルはホテルに隣接してる。

このチャペルは私にとって、人生を変えたチャペルでもある。














11年前______________








「浅姫、前にバイトしたいって言ってたよな?するか?」

今日は珍しく、夕食の時間にいたおじさんが言った。

「バイト?」

私は、箸を持つ手を止めた。

この家にお世話になって、10年。

高校生になったからバイトしたいという私の願いは叔父の『駄目だ』の一言で
簡単に打ち破られてしまったのに。

その叔父からまさかの発言。

「お父さん、この前浅ちゃんがしたいっていったの、駄目って言ってたよね」

私の横で、ご飯を食べる従姉妹の菜津が言う。

「・・・。そうなんだが・・」

答えずらそうに、私の顔を見る。

「やるっ。やるっ。」

バイトの内容も聞かないうちに即座に答える。

だって、したい。

まだ内緒だけど、高校卒業したらこの家を出ようと思っている。今から、少しでも貯金を増やしておきたい。