「あっ!裕香っっ!おはよー!」

中学校の来校者用駐車場の端から、親友のマキコが手を振っている。

「おはよ!あれぇ?マキコ、スカーフ短くない~?」

「えぇっ・・・先輩に目ぇつけられんかなぁっ・・・」

いかにも新入生な会話をしていると、胸がまた高鳴る。


信号が黄になった。裕香とマキコとその親がたちどまる。

中学校側の歩道には新しい制服を着た新一年生たちが歩いている。

裕香はさりげなくイケメンをさがす。マキコはまだ先輩のことを気にして居るようだ。

裕香には中3の姉がいる。だからそんなに心配はしていない。


「あっ!変わったぁー行こっ!」

信号が青に変わった。マキコに腕をひかれて、足早に横断歩道を渡る。


中学校の校門が見える・・・そこはもうすでにヒトだらけだ。

「あれ?あっちにヒト超あつまっとるよおー」

マキコが不思議そうに玄関前をのぞいている。そこには新クラスが掲示されていた。

『うわーっカレシと一緒の組やぁっ!きゃーーーー!』

どこからかそんな声が聞こえてきた。

もうカレシとかいるんだ・・・・・少し心配になる。

「うちらも見よー!・・・あっアミだ!アミー!」

人ごみの中にもう一人の親友、アミがたっていた。

「あっれ・・・裕香とマキコだ!制服超おにあいや!」

「えぇーアリガトー!あっ何組やったぁ?」

「うち6組やったー!マキコと裕香一緒だよっ!2組!」

えっ!マキコと一緒!!超うれしい・・・・

「まぢでっ!やった!裕香っ!」

軽く抱き合って、お互いの喜びを表現した。

――新入生の皆さんにお知らせします。直ちに各自のクラスに向かってください。
  場所が分からない場合は案内係が・・・「各自だって!親ついてこないんだぁ・・・」