~Taketo side~
俺は、急いで、中に入り、全ての部屋を見て回ってん。
リビング・キッチン・洗面所・風呂場・トイレ・翔太くんの部屋。
最後に真莉の部屋のノブを倒して、中へ入ってん。
そこも、既に何も置かれていない、ただの空き部屋になっとた。
そこには、ただ一つの封筒があるだけやった。
俺は、それの封筒を拾い上げた。
封筒には

“たけちゃんへ”
って、書かれとった。
間違える事のない、真莉の字やった。
俺は、その封筒を開け、中の手紙を取り出した。
手紙には、

“たけちゃんへ
この手紙は、たけちゃんの手元に届いてるんやろか?
届いてる事を信じて…
勝手に連絡しないで、ごめんなさい
勝手に居なくなって、ごめんなさい
勝手に引越しして、ごめんなさい
たけちゃんの想いに気付かへんくて、ごめんなさい
たけちゃんは、優しいから、うちに言えへんかったんよね、ごめんなさい
たけちゃんをきっと、困らせてしもうたんよね、ごめんなさい
うちがあほやから、いつもいつも、迷惑かけて、ごめんなさい
せやから、うちから、言うね
うちと別れて下さい
今まで、本当にありがとう
うちを愛してくれて、ありがとう
うちに人を愛する気持ちをくれて、ありがとう
うちに優しくしてくれて、ありがとう
うちの事、今まで、助けてくれて、ありがとう
生まれた時から、ずっと、ずっと、側に居ってくれて、ありがとう
うちは、たけちゃんの隣に今まで居れた事が、ホンマに嬉しかったよ
うちは、たけちゃんに出会えて、ホンマに幸せやったよ
今まで、ホンマにありがとう
ホンマに大好きやったよ…
心から、愛してた…
真莉“