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ピッ

絵『もしもし?翔ちゃん?もしかして、真莉の事?』

“そや!なんで、分かってん!!”

絵『うちらも真莉に電話繋がらんから、今、マンションにきてん!
で今から、真莉の部屋に入るところで…』

真莉の部屋の中に先に入った、由美ちゃんの大きい声が聞こえてん。

由『真莉!!真莉!!どうしたの?!確りしなさい?!』

“おい!絵里?どうしたんや?なんか、あったんか?おい!絵里”

うちも部屋に入って、真莉を見た瞬間、動きも言葉も失ってしまった。
真莉は、ベッドの上で、自分の髪の毛をはさみで、切ったらしく、その切った髪の毛が、真莉の座る周りに散らばっていた。
真莉の髪の毛は、めちゃくちゃキレイで、背中の真ん中ぐらいまである長い黒髪が、今は、肩の辺りにまで、短くされ、しかも、バラバラのボサボサになっててん。
今日の朝会った、真莉の姿は、どこにもなかった。
目を開けてはいるんやけど、正気がなく、何も感情のない表情で、由美ちゃんの問いかけにも全く反応しへんかった。
その姿を見ていられんくて、泣きながら、廊下に出た。

“お~い!お~い!!絵里~!!聞いてんのか~?!”

絵『翔ちゃん…真莉が~あぁ~』

“おい!絵里!!どないしたんや!!真莉に何があったんや!!”

うちは、耳元で、翔ちゃんの声や、たぶん、向こうに居るであろう、みんなの声が、聞こえててんけど、何も言えずにいた。

由『あっ、もしもし?由美です!え~っと…』

省『今井です!こんばんは!なんや、急に絵里が泣き出して、話にならんて、翔太が…。
何があったんですか?』

由『あの~ごめんなさい…翔太くんに変わってもらえるかしら?』

省『えっ!?あっ、はい、ちょっと待ってて下さい!』

“翔太?電話、変わってくれって由美さんが…”

“はい、変わりました…それで、何があったんですか?”