俺は、ホテルの一室に居た。
ベッドに寝ている女の顔を見ることもなく、洋服を着た。
名も知らない女を抱いた後の、この虚しさはいつものこと。









帰り支度を終えた頃。
女が、目を覚ましたようだ。




「明、もう帰っちゃうの?」



「ああ、もういいだろ」




「待ってぇ~明、冷たいよ!私、明の1番になりたいの!」




俺の腕を弱々しく、握る女の手を振り払い、その場から離れた。











外は、もう夕刻。
あの女とは、朝からベッドに縺れ込んだんだった。
小さくため息をついて、俺は駅の方へと歩を進めた。