「葵さんも、西園寺さんの尻にひかれちゃダメですよ?」



「彼女は、素直じゃないだけなんですよ」


クスクス笑っている葵さんと、ちょっと呆れ顔の雫。



「…春岡亮って小説家の?」



黙っていた明さんは、思い出したように口を開いた。
私も、名前くらいは聞いたことがある。
最近話題の推理小説家だ。




「はい、ただ…ろくな奴じゃないので、サインだけは貰いますけど、会うのは止めとくべきです」


雫は、皆さんのキラキラした視線をはねのけるように、言った。
まあ、自分のお兄さんを良く言うのは、ブラコンだけだもんね。