「ただいま」


私が帰宅したのは、もう日付も変わる頃。
あの名探偵さんを見てたら、私は最近ない、スリリングなゾクゾクするような気持ちを覚えた。
何か起こりそうな、予感。






「遅かったんだな」



「えぇ、名探偵の謎解き聞いてたからね」



私の夫、海野拓也は同じ職場の上司。
一目惚れしちゃってね、猛アタックしちゃったのよ。




「名探偵?ああ、明くんかい?」



「それが、違うのよ。明くんはね、謎解きの過程が好きであって、名探偵の役柄は嫌いらしいわよ」



「じゃあ…誰だい?まさか、マスターじゃあないだろ?」