見せられたのは、手紙と葉。 手紙には誰かの直筆で、『頂きましたが、またお借りしたいのです』と書かれていた。 「この手紙に主語がないわね」 宏美さんは、迷わず指摘した。 確かに、主語がない。 「そうなんです。此方の葉が、紅茶の葉で、深川さん宅で加工されたものであるのは、わかると思うんです。でも、コレは不自然なんですよね」 「この葉が、紅茶?」 「あら、知らないの?明も修行が足らないわね」 宏美さんは、偉そうにニヤリと笑った。 俺が紅茶に詳しい方が、気持ち悪いだろってのに。