「そうだ、全て証拠がない」



黙っていた管理人田辺さんが口を開いた。
この不利な状況を、打開しようとしているらしい。





「もうすぐ証拠を持った私の知り合いが来ますよ」



「そんなハッタリに騙されるものか!」




ガタン



田辺さんの言葉と同時に、重い扉が開いた。



「雫!」




心の声が聞こえた。
私を助けたいと叫ぶ心の声が。
もうすぐだと、みんなが言っていた。





「証拠ならもう揃ってる。逮捕状も発行できたのよ!」



西園寺さんのいつもとは違う、険しい声が倉庫内に響いた。