「此方は、雫のお友達」 それぞれが自己紹介をしていると、彼は時折落ち着かないように視線を動かしてい。 「雫のこと…ですよね?」 「込み入ったことを聞くつもりは、ありません。でも…俺たちは」 雫を知りたいと言う俺の言葉を遮って、彼は口を開いた。 「僕にお話出来ることは、ありません」 沈黙が流れた。 「どうしてですか?」 宏美さんは、その沈黙を追い払うように口を開いた。 「雫ちゃんは、アナタのように笑いません。それは、きっと苦しい辛い想いをしたからですよね?」