西園寺さんは、ツカツカと事務所に入ってきた。
事情聴取が、終わったようだ。




「はい、そうなんです」




「参考までに、まず山口寛子の関係者は影山佑。一応彼氏みたいだけど、二股してたようだから動機はあるの。それから管理人の田辺勇樹、彼には動機もないわ。次の中崎良子の方は、鎌田光一は中崎良子の上司で、被害者と不倫してたんですって。動機は充分ね。ただね…その全員にアリバイが無いの」





「うまく出来てますね…まるで小説のように」



そう、アリバイがないなんておかしいのだ。
ああいう風に明さんに、殺害させるなら完璧なアリバイが、無ければ疑われてしまうのだから。