それによれば、その人物――男性――は、現金輸送車を乗っ取り、誰か――名前は覚えていないが――と一緒に、その中身を山分けしたのだと。 私は、どうすればいいか分からなかった。 これを大人が、信じるとは限らないし。 「どうした?」 オロオロとしていたら、男の子が声を掛けてきた。 身長が170センチくらいで、笑顔が眩しかった。 私は、何も言えなかった。 だって、心の声が聞こえるなんて言ってしまえば、馬鹿にされるのは、目に見えていたから。 「大丈夫。俺もだから」