──♪♪♪
エレクトーンのテンポの良いメロディが真っ暗なステージの上に響く。
その音はだんだんと、強くなって、だんだんと、速くなって…。
時期に、ドラムが加わり、ベースが加わり、ギターが加わり、サックスが加わり…。
そして、ボーカルが加わろうと息を吸った瞬間、…
──ステージのライトが、パッと付いた。
その瞬間、会場みんなが手拍子を始めて、キャーキャーと声を上げ始めて、…。
みんながビートに合わせて跳ねる。
そして、あちこちから聞こえる声。
みんながステージ上の人達の名前を呼ぶ。
中でも、「リュウ~!!」って名前は飽きるほど聞こえて来た。
ギター片手にマイクに息を吹き込む、リュウ。
そう、ギター兼ボーカル。
格好良い。
なんか、すごく、すごく、格好良い。
相変わらずサングラスは外さないけど、無愛想で、ウザくて、今まであたしが見たリュウとは、全然違った。
てか、別人だった。
次第にあたしの鼓動もだんだんと高まり、気付けば跳びはねながら、ノリノリだった。

