でも、そんな心配、必要なかった。
階段を降りたそこに広がる、大きなホール。
学校の教室の5倍くらいはあるだろうか。
その一番奥にはステージがあり、スポットライトが照っていた。
「すごい…。」
「じゃあ俺、別室で音合わせするからその辺に居て。」
「そ、その辺って…!?」
よく分からないけど、おいてけぼりをくらったあたし。
周りを見渡しても人一人居ない、
と思ったけど居た。
隅っこのカウンターのようなところでタバコを吸っている、おじさん。
金髪に、アロハシャツで、…。
なんとも怪しい人(笑)
ここのオーナーかなんかだろうか?
とりあえずあたしは声を掛けてみることにした。
「あ、あのぉ~…?」
「君だれ?」
君だれって…。
「え?」
「まぁいいや。俺はここのオーナー。君、リュウの彼女?」
「彼女なワケないです。」
あたしがリュウの彼女なんて、…
まず、ない。
「そっか。リュウが女連れてくるなんて初めてだからてっきりそうかと…。」
初めてなんだ。
意外と色んな女連れ込んでそうだけどね。
「アハハ…。」
とりあえず、笑っとこ(笑)
「じゃあ、仕事、仕事。言っとくけど、今日はリュウ達のライブ10時からだから。リュウ達はすごいよ。朝っぱらからだろうと、深夜だろうと、かなりの客集めるから。今日もかなり来るだろうから、覚悟しとけよ。」
「は、はい…。」
そんなにすごいんだぁ。
てか一体リュウは何者なんだ?

