違う!
もっと後だ。
もっと先…。
僅かに指先に触れた
おぼろ気なそれを
零れ落ちない様に
必死で繋ぎ止めた。
『通せませぬ!』
記憶の海をさ迷い
糸口を手繰り寄せる。
何故右近は行く手を遮られた?
『此処より先お通し出来ませぬ』
その先に何かが有った?
否、誰かが居たんだろう?
『命を賭けてお通し出来ませぬ』
通せないのは…
右近とその先の誰かを
会わせたくないから。
『右近様のご命令でもお聞き入れ出来ませぬ!』
会わせたくないのは…
何故なんだ?
「退け…」
言葉のキツさとは裏腹に
誰に言うでもなく呟く。
「退かねば…切り捨てる…」
そうだ俺(右近)は確かに
行方を阻む誰かに刀を向けた。
『命ある限り退きません!
お許しください』
瞳を閉じたまま
見えない誰かに
見えない刀を抜き。
「…お前の心根立派であったぞ。太蔵丸よ次代は善き世に…」
見えない刀を振り上げる。
太蔵丸だと!
その瞬間
瞳を開け見えたのは
尊の影武者…太蔵丸と重なる
「茜…」
「又…切らないおつもりですか?右近様…」
「茜が太蔵丸だと言うのか?」
太蔵丸…尊の影武者が茜なら。
もっと後だ。
もっと先…。
僅かに指先に触れた
おぼろ気なそれを
零れ落ちない様に
必死で繋ぎ止めた。
『通せませぬ!』
記憶の海をさ迷い
糸口を手繰り寄せる。
何故右近は行く手を遮られた?
『此処より先お通し出来ませぬ』
その先に何かが有った?
否、誰かが居たんだろう?
『命を賭けてお通し出来ませぬ』
通せないのは…
右近とその先の誰かを
会わせたくないから。
『右近様のご命令でもお聞き入れ出来ませぬ!』
会わせたくないのは…
何故なんだ?
「退け…」
言葉のキツさとは裏腹に
誰に言うでもなく呟く。
「退かねば…切り捨てる…」
そうだ俺(右近)は確かに
行方を阻む誰かに刀を向けた。
『命ある限り退きません!
お許しください』
瞳を閉じたまま
見えない誰かに
見えない刀を抜き。
「…お前の心根立派であったぞ。太蔵丸よ次代は善き世に…」
見えない刀を振り上げる。
太蔵丸だと!
その瞬間
瞳を開け見えたのは
尊の影武者…太蔵丸と重なる
「茜…」
「又…切らないおつもりですか?右近様…」
「茜が太蔵丸だと言うのか?」
太蔵丸…尊の影武者が茜なら。


