風呂上がりの桃色に熱る体に、
俺の選んだ服を纏う葵が、
堪らなく愛しくて…。

「腹…減った」

まともな食事を取って無かった、体が訴えかける。

俺の腹の虫が余程愉快なのか、
満面の笑みを携え…。

「私、何か作る」

冷蔵庫へと手を伸ばす。

が…、

束の間開けられた扉は、
そのまま閉じられた。

「…空っぽだった」

「入ってんじゃん…」

葵ごと包む様に
扉を開けた俺は、

「パスタにスープと果物の缶詰…あと何だこれ?」

お中元お歳暮に
親父宛てに贈られてきた
ギフトの箱は開けるのも面倒に、
まんま冷蔵庫にぶち込まれてた。

一応生モンだけは
都度葵に手渡していたが、

「うわっスゲ〜…石鹸まで入ってやがった」

固形石鹸の入ってると思われる箱を取り出す。

「慎ちゃんこういうのは冷蔵庫にしまうものじゃないよ?」

首を捻り振り返る葵の
腰に腕を回す。

「まぁ…デケぇ冷蔵庫だからさ、取り敢えず入れときゃ間違いねぇと思って」

葵の背中に隙間無く
胸を押し当てた。

「でも…乾物類や粉末類のレトルトは冷蔵の必要無いよ…」

言いながら、
箱を取り出していく。

「調味料だってさ…持ってくか?家では使わねぇしな…」

葵の胸元に差し出した。

「ん…でも…」

それを受け取る手がさ迷う。

「何だよ?あって困る物じゃねぇだろ?」

躊躇う理由が理解出来ない俺は、それを押し付けた。

「だって…此処でも使うことあるかもしれないじゃない…」

唇を突き出し剥れる。

何だ…、
彼女って認識はあったんだな。
こうして密着為せたとこで
意識しねぇで居るから…、

てっきり自覚ねぇのかと
思ってたんだが。

考えてみりゃ…
こんぐらいのスキンシップなら
前からしてたんだよな?

あれで手を出してねぇのが不思議なぐれぇ触れまくってたっけな。