一人の少年が走っている。
脇腹が痛い。喉が渇いて呼吸も乱れてきた。後ろの足音は少しずつ大きくなっている。息遣いまで聞こえてきそうだ。
やばい、このままじゃ捕まる。自分の心臓の音が余計な焦りを生む。
なるべく使わないようにしていたが、腕につけている金属製の装置に触れた。
2回。
ーフォォンー
靴底から風がでて体が少し浮く。自分で走っているように見せながら少しずつスピードを上げて、追っ手から逃れた。

また装置に触れる。
1回。
変身は解かれた。さっきまでの少年の姿は消え、神がかった美しさの女性の姿になった。