「それにね、悪いけど三浦印刷の事調べさせて貰ったわ。


かなりの借金があるわね。」




え、借金があるの?




経営が大変な事は知ってたけど、そんな借金があるなんて知らなかった。




「田邊の力でこんな小さな印刷所なんてどうにもなるのよ。



どうしても、阿南を渡さないと言うならこちらにも考えがあるわ。」




それは何を意味するか私にも分かった。




『結子、阿南の為ならこんな印刷所はどうなってもいいんだ。



結子、おまえは変わったな。おまえはこんな女じゃなかったのに。』




「大輔バッカじゃないの、いつまでも昔の私でいる訳ないでしょ!



人間は変わって行くのが当たり前。



大輔みたいに、いつまでも甘い考えだと、人の借金まで背負わされるのよ。」




親父、何も話してくれないから印刷所がこんな状態になってたなんて知らなかった。