【短】愛鍵。

鍋の材料を購入し、スーパーから出ると外はもう真っ暗。


『うわっ、やばい』


早く帰らないとまこちゃん帰ってきちゃう～っ。

暗い道を走ってまこちゃん家に向かう。


「あれ？紗代ちゃん」


車のライトが顔に当たって思わず目を閉じてしまった時、後ろからあたしに向かって声がした。


『え』


暗くてよく見えないけどニヤッと光る歯になぜか背中がゾクリとする。


『誰？』


「やだ、紗代ちゃん忘れたの？タナカナツキだよ」


タナカナツキってどうやって書くんだろ？ナツキ･･･ナツ？
もしかしてカラオケで会った人？


『ナツ･･？』


「嘘ッ。紗代ちゃんにあだ名で呼ばれるなんて嬉しいんだけど!俺今最高に幸せ♪」


相変わらずのハイテンションに少し顔が引きつっていくのが分かった。


「紗代ちゃんの彼氏の家ってここらへん？」