思ってもみないその言葉に
つい先ほど来たホットコーヒーをこぼしそうになる。
「誰だって親になることを怖くない人なんていないと思うぜ?」
「では青山先生も」
「もちろん、俺だってそうだった。
メイには幸せにするとか言っておきながら内心では怖かったさ」
「だけど、考えてみろよ。最初から完璧な親なんて誰もいないだろ?」
「それは確かに」
「みんな手探りでゼロから子供を育てていくんだ。」
「ですが」
「そうそう、これ」
何か思い出したかのようにポケットから紙を出してテーブルに置いた。
これは・・写真?
「花とお前の子供だ」
これが・・俺達の子供?
とても人の形をしているとは思えないけれど。
だが、写真だけを見ても
必死に生きているということが伝わってくる。
「それを見てもまだ父親になれるかどうか分かんないとか言うのか?」
父親に、親になれるのか分からなかった。
だがこの姿を見たら
「青山先生、お願いがあるのですが」
何故か悩みは全て吹っ飛んでいた。


