「では検査の結果が出るまでここでお待ち下さい」
病院内には可愛らしいオルゴールの音楽が流れていて。
壁一面の優しいピンク色は何故か気分を少しだけ落ち着かせてくれる。
周りにはお腹を大きくした妊婦さんが本を読みながら
自分の順番を待っていた。
妊娠したかもしれないと気付いた次の日。
あたしは即行動に移していた。
一応、ママには
「妊娠しているかもしれない」伝えたけれど。
でも一緒に行こうかと言ってくれた事を断って少しだけ後悔している。
少しだけ気分は落ち着いたはずなのに
またやってくる緊張。
暖房がきいて暖かいはずなのに
手が尋常じゃないくらい冷たい。
それに震えている。
ちらっと隣の人を見てみると。
妊婦さんのお腹はとても大きくて。
あの中で本当に子供が育っているんだって
今更ながら実感している。
ふと、自分も手を当ててみた。
まだ一ミリも膨らんでないお腹。
生きているのか、本当にここにいるのか分からないけど。
でも今、この時間
あたしはママになっている。
そう思うと
何故だかとても嬉しくなった。
「青山さん、どうぞ」


