何時もの様に酒を喰らい、何時もの様に'女'から他愛のない今日一日の話しを聞く風でも無く、耳を傾ける。


適度に酒が廻った'女'を、何時もの様に俺は抱いた。


何時もの様に・・・。



やがて月の明かりが窓からずれ、部屋の中に冷たく暗い空気に変わった。


今、横で眠る'女'は二度目の夢を観てる頃だろう?!
俺はベットから抜け出て、壁に掛けてある外套を身に纏い、今迄世話してくれた'女'の頬に口付けをした。

「ありがとよ」


心の中で呟き、俺は一人部屋を出た。


空には無数の輝く星達が、俺の旅立ちを祝して居るみたいだ。




さて、この街には向こうから来たから、今度はこっちに歩いて行こう。


部屋の窓から覗いてた月が、俺の行く方向を照らしてくれてる。


今度はどんな街かな?


等と似合わぬセンチな気持ちが心を走った。