ほこりっぽい道ばたに、私は墜ちた。
まるでゴミクズみたいに。
誰にも顧みられずに。
すぐ脇を大きな音をたてて荷車が通りすぎたけど、動くことさえなかった。
せわしない人間たちの呼び交う声。
どこまでも続く、瓦屋根を載せた白い塀。
半開きの虚ろな眼に、空が遠い。
あの蒼い空。
あんな高い処に私が居たなんて、今では信じられないわ。
だって、ほら。
あのお屋敷の塀から覗いている梢より、ずっと空は高いんだもの。
ああ、うるさい足音。
うるさい声。
地上はどうしてこんなにうるさいのかしら。
どうせ墜ちて死ぬのなら、墜ちゆく間に死にたかった。
そうすれば、せめてこの心だけでも、地上を離れて飛び続けることができたでしょうに。
じりじりと、天頂で燃え立つ太陽。
瞬きする力すら失せた眼を乾かしてゆく。
ゆらゆら、陽炎。
空が歪むわ。
…………
まるでゴミクズみたいに。
誰にも顧みられずに。
すぐ脇を大きな音をたてて荷車が通りすぎたけど、動くことさえなかった。
せわしない人間たちの呼び交う声。
どこまでも続く、瓦屋根を載せた白い塀。
半開きの虚ろな眼に、空が遠い。
あの蒼い空。
あんな高い処に私が居たなんて、今では信じられないわ。
だって、ほら。
あのお屋敷の塀から覗いている梢より、ずっと空は高いんだもの。
ああ、うるさい足音。
うるさい声。
地上はどうしてこんなにうるさいのかしら。
どうせ墜ちて死ぬのなら、墜ちゆく間に死にたかった。
そうすれば、せめてこの心だけでも、地上を離れて飛び続けることができたでしょうに。
じりじりと、天頂で燃え立つ太陽。
瞬きする力すら失せた眼を乾かしてゆく。
ゆらゆら、陽炎。
空が歪むわ。
…………
