「お待たせ」
穂乃ちゃんがリビングのドアから顔を覗かせた。
「用意、出来た?」
「うん。廊下で待ってるね」
「わかった」
俺はタバコを灰皿に押し付けた。
パンツの後ろのポケットに財布を入れて、コートを羽織った。
携帯とキーケースを手に持つと、穂乃ちゃんのいる廊下に出た。
「あっ……」
廊下で待つ穂乃ちゃんを見て思わず声が出た。
いつもの穂乃ちゃんじゃない。
黒のワンピースに白のコートを着た穂乃ちゃんは大人に見えた。
それに髪もおさけじゃなく軽く巻いてある。
薄くメイクもしている。
「どう……かな?」
照れくさそうに笑う穂乃ちゃん。
「可愛いよ。大人っぽい感じで……何かいつもと違うからビックリしちゃって……」
「良かった」
穂乃ちゃんがニコッと微笑んだ。



