キッチンとリビングにビーフシチューのいい香りが漂ってる。
ビーフシチューとサラダとパン。
それがダイニングテーブルの上に置かれた。
「食べよ?」
「うん」
向かい合わせに座って「いただきます」と手を合わせた。
そして、穂乃ちゃんの作ったシチューを口に運んだ。
「どう?」
穂乃ちゃんは俺の顔を覗き込むようにして聞いてきた。
「美味しいよ」
「ホントに?」
「うん。ホントに美味しい」
俺は穂乃ちゃんの頭をポンポンとした。
「良かった」
穂乃ちゃんの顔が安堵の表情になった。
穂乃ちゃんが俺のために作ってくれた初めての手料理。
凝ったものではないけど、どこのレストランにも負けないくらい美味しかった。



