「咲哉……さん……」



穂乃ちゃんは目を真っ赤にして、大粒の涙をポロポロ流していた。



「穂乃ちゃん?」


「咲哉さん……。辛かったね……。苦しくて……寂しくて……」


「でも今は、辛くないよ?苦しくも悲しくもないよ?」



俺は穂乃ちゃんに笑顔を見せると、彼女の髪を優しく撫でた。



「どうして?だって……子供の頃から……ずっと……ひとりぼっちで……。養親の方も亡くなって……」


「今は……ひとりぼっちなんかじゃない……」


「えっ?」


「穂乃ちゃん……。キミに出会えたから……。穂乃ちゃんが傍にいてくれるから……だから今は……ひとりぼっちじゃないよ」


「咲哉……さん……」



穂乃ちゃんが俺の体にギューッと抱きついてきた。


俺も穂乃ちゃんをギュッと抱きしめる。


今は……すごく……すごく……幸せなんだ――。