「もう……何も言わなくていいから……」



穂乃ちゃんが顔を上げて俺を見た。



「俺が……箱の外に出してあげるよ……。俺が穂乃ちゃんの光になるから……。居場所がなかったら……俺が穂乃ちゃんの居場所になるから……」


「咲哉さん……」



涙で潤んだ瞳が俺を真っ直ぐ見ている。



「穂乃ちゃん?」


「ん?」


「泣かないで……。もう、泣かないで……」



指でそっと穂乃ちゃんの頬に触れた。



「俺が、穂乃ちゃんを守るから……。だって……俺は……」



俺は………。


キミのことが――。



「穂乃ちゃん……俺は……キミのことが……」



その時――。


俺の唇にキミの唇が重なったんだ……。