「親に認めてもらいたいから、レベルの高い高校に入学して、今まで真面目にやってきたの。でも親は私に無関心。金さえ与えとけばいいみたいな考え。家では空気みたいな存在で、必要とされてなくて居場所がなくて……。いつからか家に帰るのが怖くなってた。私は暗い箱の中にいて、光を求めてもがくけど外には出られない。中は真っ暗で何もなくて、あるのは寂しさと苦しさと悲しさと辛さだけ……」



マグカップを見つめたまま話す穂乃ちゃんの目から流れた大粒の涙は、ポタポタとラグの上に落ちていった。



「咲哉さん……」



穂乃ちゃんは顔を上げて俺を見る。



「どうしたら……暗い……箱の中から……外に……出られるの……かな……」



穂乃ちゃんは唇を噛みしめ、肩を震わせながら泣いていた。


そんな穂乃ちゃんの腕を掴んで、自分の方へ引き寄せ、ギュッと強く抱きしめた。