目が覚めた。
ホテルの部屋は入った時と同じで、オレンジ色の淡い光だけが灯り、今が朝なのかわからない。
ベッドに備え付けてあるデジタル時計は"7:50"と表示してあって、そこで初めて朝になってたんだとわかった。
隣には、まるで仔猫みたいに体を丸めて眠る穂乃ちゃんがいる。
俺は体を穂乃ちゃんの方へ向けると、流れるような綺麗な黒髪をそっと撫でた。
「………んっ…」
眉間にシワを寄せた穂乃ちゃんが小さな声を出した。
その可愛い声に胸が"ドキン"と高鳴る。
ゆっくり目を開ける穂乃ちゃん。
「穂乃ちゃん……おはよ……」
「おはよ……」
お互い微笑み合う。
穂乃ちゃんの寝起きの顔は子供のように可愛くて……。
俺の胸はうるさいくらいドキドキしていた――。