俺の胸に顔を埋めて、肩を震わせながら泣く穂乃ちゃん。


俺は何も言わず、ただ…穂乃ちゃんを強く抱きしめていた。


なぁ……穂乃ちゃん……。


キミが流した涙の訳はなに?


何がそんなに悲しいんだ……。


何がそんなに辛いんだ……。


何がそんなに苦しいんだ……。



「穂乃ちゃん……帰ろ?送って行くから……」


「……やだ……帰りたく…ない……」



穂乃ちゃんは首を激しく左右に振った。



「穂乃ちゃん……」


「お金なんかいらない……。このまま……朝まで傍にいて……」



穂乃ちゃんは顔を上げて、涙で潤んだ目で俺を見た。


穂乃ちゃんの頬にそっと指をあてる


穂乃ちゃんの体が"ビクッ"となった。



「わかった…。だから…もう泣かないで……」



俺は再び穂乃ちゃんの体をギュッと強く抱きしめた。