閑静な住宅街の中にある1軒の家。


洋風な造りで、庭も広い。


そこが手話教室。


車を家の前に止めた。


雨に濡れないようになるべく早足で中に入った。



「遅くなってすいません…」



俺はハンドタオルで水滴を拭きながら言った。



「いらっしゃい。大丈夫よ。これから始めるとこだから」



手話の先生がニコニコしながら出てきた。


自分の母親くらいの歳かな。


上品な女性。


息子さんが聴覚障害者らしい。


健常者にも手話を勉強してほしいとのことで、自宅で手話教室を開いたらしい。



「良かった」



俺は安堵の表情を見せた。