「穂乃ちゃん……?」
俺は後ろから声をかけた。
「えっ?」と小さく呟いて振り向く女の子。
やっぱり……穂乃ちゃんだ……。
目を見開いて俺を見てる穂乃ちゃん。
男もこっちを見ている。
俺は穂乃ちゃんの手を握って走った。
止めていた車の前で足を止めた。
「大丈夫?」
振り向いて穂乃ちゃんにそう言った。
「…………」
無言で俯く穂乃ちゃん。
当然、俺は彼女の口から「ありがとう」と言ってもらえると思ってたんだ……。
でも…顔を上げた穂乃ちゃんの口から出た言葉は意外なものだった。
「どうして……余計なこと……するの?」



